1908年製 GROTRIAN Piano 修復(その2)
修復作業の何が楽しいかって?
100年前の技術者と、時間と空間を超えた会話かな。
なんてね☺️
このピアノは販売目的では無いので、できるだけオリジナルを活かした必要最小限の修復で費用を抑える形にとなります。ピアノ弦も比較的良い状態なので、費用と時間がかかる弦交換は見合わせます。
それでも虫食いなども多くフェルトなどの交換は必要でした。あとはハンマーの整形の後にタッチの調整をして完成です。
この時代はまだプラスネジが発明されていなくて、全てのネジがマイナスネジです。マイナスネジはマイナスネジでプラスネジには無い利点もあり、今でもマイナスネジを採用しているメーカーもあります。
古い時代のネジは今よりも金属が柔らかく、気を抜いて締めていると簡単にねじ山を舐めてしまいます。このピアノの場合も過去の修復時に?ネジ山が締める方向に舐めてしまっているので、部品を取り外したは良いが、取り付けには難儀しました。舐めたからと言っても代替品はありません。
象牙鍵盤に黄ばみは多少あるものの、漂白は象牙を痛めることとの諸刃の剣なので、今回は見送ることにしました。少し黄ばんでいたくらいがアンティークっぽくて良いですよね。