1908年製 GROTRIAN Piano 修復(その1)
1908年製 GROTRIAN(グロトリアン)ピアノの修復依頼があり入庫しました。1908年といえば日本は明治41年。ラストエンペラー愛新覚羅溥儀が清国(現中国)の皇帝に就任した年です。先日1885年(明治18年)のピアノを調律したところなので、115年前といえど随分と最近の話にも思えます。私の年代なら生前を知っている長谷川一夫、伴淳三郎、朝比奈隆さんが生まれ、亡くなった私の祖父もその辺りの生まれだったような。
Grotrian-Steinweg(グロトリアン・シュタインヴェーク)は1835年に設立したピアノ工房の流れを継ぐピアノメーカーで、世界で最も古いピアノ製造会社の一つです。
工房の創業者は後にアメリカへ移住後 STEINWAY & SONS(スタインウェイ&サンズ)を創業することになるハインリヒ・エンゲルハルト・シュタインヴェーク(米国への移住後にヘンリー・スタインウェイと改名)。1856年に長男のテオドール・シュタインヴェークとフリードリヒ・グロトリアンがパートナーとなりグロトリアン・シュタインヴェークに。その後は2000年代までグロトリアン一族が経営を引き継ぐことに。後にスタインウェイが「シュタインヴェーク」という名称の使用を止めるよう提訴した話は有名(敗訴)。
2015年、香港にある柏斯琴行(Parsons Music Group)がグロトリアン=シュタインヴェークの株式の大半を取得し買収。2017年に第2ブランド friedrich GROTRIAN、2018年には第3ブランドとして WILHELM GROTRIAN となり現在の製造は完全に中国製となっています。
製造番号は20229。データベースによると1908年ごろの制作となっています。
そのほかダンパースプリング劣化のために十分効いておらず、止音状態は良くないのでその辺りの修理も必要かもしれません。
届いた時点で調律がかなり狂っていたので、ざっと調律してみたのですがその美しい音色にびっくり。440hzでの保持力にも問題ないようです。