グランドピアノの調律、立つ派?座る派?
腰痛の中、グランドピアノの調律をやっていてブログネタを思いついた。グランドピアノをお持ちのお客様、調律の様子を見たことあります?担当の調律師は座ってやってます?それとも立ってやってます?立って弾くのと座って弾くのと、ピアノの音色って違うことを知ってました?
立って調律と座って調律の違いって何?
身長?
身長がチンチクリンの私は、グランドピアノの調律は立ってやっています。座高は人一倍高いのですが腕が短いので、座り姿勢ではちょっとやりづらいことは確かです。逆に背が高い外国人などは、前かがみに姿勢になるために長時間立っての調律はかなりきついと思います(背が高い外国人は縦型ピアノも座って調律される方も見受けられますね)。
でもそれだけではありません。
立ちスタイルと座りスタイルのどこが違うかというと耳の位置。同じ音でも耳の位置が変わると聞こえてくる倍音の内容が変わり音色が違って聞こえます。座って聞く方がよりピアニストが聴いている音に近く、立ちスタイルは聴衆が聴いている音に近いと言えるでしょう。
耳の高さだけではなく、ようよう調律作業を見ていると、時々耳の位置を上下左右にいろいろと動かしていることがあります。耳の位置を動かすことによって聞きたい倍音がより聞こえやすい位置を探しているのです。倍音の内容を揃えることにより、美しく揃ったビロードのような音色を作り上げていきます。
座ってやると、音がよく聞こえるため微調整がやりやすいが、背が小さい日本人では打鍵が弱くなりセットが甘くなりやすい。立ちスタイルだとしっかり打鍵できるので安定した音になる反面、ピアニストが聴いている音とギャップがあるなど、それぞれ一長一短がありますので最終的には座って弾いて立って弾いて、それぞれのスタイルでチェックします。
ちなみにアップライトピアノでも耳の位置を動かしているところは見ることできますので、観察してみてください。
でもあまり見つめ過ぎると勘違いする調律師がいるかもしれませんのでご注意くださいね 😛
以上、ピアノ豆知識でした。