スタインウェイの木材で作られた椅子
スタインウェイのサウンドボード(響板)に使用されている木材はSitka spruce(シトカ スプルース)と呼ばれるマツ科の常緑針葉樹で、重量に対する強度が高いことで知られており、また繊維が長く平行であるため、弦の振動を増幅してピアノの音を出すというサウンドボードの役割に最適な木材です。
しかしながらピアノに使用できる部分は全体の50%ほどで、そのほとんどが廃棄されています。
そのことを知ったドイツ生まれのデザイナーロードアイランド・スクール・オブ・デザイン教授のローター・ウィンデルス(Lothar Windels)さんは、芸術作品として自立し、このような廃棄物の流れを減らすことができることを示すプロジェクトを考え始めました。
そこで彼は、スタインウェイ社から廃材の提供を受け、1957年以来イタリアのカッシーナ社で生産され続けているイタリア語で「超軽量」を意味する椅子「SuperLeicht(スーパーレジェーラ)」をベースにしたコンセプトチェア「SuperLeicht(ドイツ語で超軽量)」の制作に取りかかりました。
製品としてお目見えする日も近いかもしれません。
スタインウェイ社はこの他にも廃棄材を使って、葬儀用の骨壷を制作するフロリダの木彫り職人と提携し、亡くなったり行方不明になった退役軍人の遺骨を見つけて国立墓地にきちんと埋葬してもらうという活動を行っています。
ピアノ制作にはたくさんの木材が使用されています。今お手持ちのピアノを大切に次の世代へ引き継いでいくことも、私たちにできる役割ではないでしょうか。使っていなくても年1〜2回のメンテナンスをお忘れなく。