先日メールにてお問い合わせを頂きました。当工房では調律時に専用チューナーを使い調律測定を実施しております。

ピアノの調律は目に見えるものではありません。一般のお客様の場合、どこをどう調整したのか、本当に音が変わったのか、調律師を信用していただいているのが現状です。

おそらくどの調律師も作業を終了後には、カルテのようなものを作成してお客様にお渡ししていると思うのですが、そこに書かれている事自体『よく分からない』とおっしゃられるお客様もいらっしゃいました。

そこで、調律師試験で行われているように、調律を測定しグラフ化することで、どこがどれくらい狂っていて調整されたのかひと目で分かるようにさせていただいております。

残念ながら全音を測定するには時間的に無理がありますので、基本的に基準音の『A』の音をオクターブごとに測定して線で結ぶという方法をさせていただいています。

測定に使用しているCyberTuner(サイバーチューナー)の特徴は、他のソフトが『0』からどれくらいオフセットされた音が鳴っているかを表示するのに対し、予め目の前のピアノの音を読み込ませて倍音を分析し、そのピアノにあった調律カーブを計算し、そこからどれだけズレているか数字で示してくれるスグレモノです。調律カーブはピアノによって違いますので、この機能はとても便利。

青色のグラフが正しい音程、赤色のグラフは調律する前の音程。上のグラフでは中音から高音にかけて、やや下がり気味で、最低音部のみ少し上がっている様子が確認できます。赤い数字は差異セント数(1セントは半音の100分の1)です。オーナーは音楽大学の学生さんでよく弾いていただいています。

用紙には本来個々のピアノで変わる調律曲線(青いグラフ)が予め印刷されている状態ですが、どのあたりがどれくらい下がったのか、または上がったのかの目安にはなると思います。大人よりもむしろ子どもたちが興味深く見てくれるのが意外です。

もちろん自分自身のために調律後の測定チェックも欠かせません。実際にはグラフにピッタリが良い音というわけではないのですが、ヒューマンエラーの防止にもなり、なによりも悦に入ってしまい基本から逸脱してしまいがちなベテランほど、自分の技術の見直しにもなると考えています。毎回毎回調律の試験を受けているようなものですからね。