ピアノ豆知識『ピアノ線と響板の関係』
響板はピアノに取り付ける際、両端から内側へ向けて力を加え(青色の矢印)中央部が山形になるようにクラウンと呼ばれるアーチ状に取り付けられています。この時、中央部が盛り上がりますので上向きの力(赤色の矢印)が加わっています。
対して響板のクラウンと接するように張られた両端が固定されたピアノ線には張力がかけられ、外向きの力(青色の矢印)がかかっていますので、響板と接した部分には下向きの力が働きます(赤い矢印)。
このようにお互い押し合うような構造により、ピアノ線と響板の密着度が上がり、より効率良く振動を伝達する事が出来るようになっています。 ここで注意しなければならないのは、ピアノ線と響板にかかる力は正しく調律された状態でバランスが保たれるように設計されています。
ピアノ線の張力が下がれば、響板のクラウンが高くなりますし、張力が上がればクラウンは低くなります。温度の上下でも変わります。調律が狂う原因としてピアノ線の張力と響板のクラウンが密接にかかわりあっていることがお分かり頂けると思います。
冬の時期の温風や床暖房には十分な対策が必要です。 また、調律の長期間放置でピアノ線の張力が極端に下がってしまったり、温風などで響板が極端に長時間温められたりすると『割れ』などの原因になってしまうことがありますので注意が必要です。
YouTubeで『響板割れ(Sound board crack)』で検索するとその修理の大変さがわかると思います。 YouTube検索結果 『Sound board crack piano』 定期的に調律をやっていても、年数が経過すると自然に響板のクラウンは下がってきてしまいますので、古いピアノなどはオーバーホールが必要になる場合もあります。気になる方は担当調律師へご相談ください。