ROLEX ピアノ KR-33 修復(その4)
アクション及び鍵盤の調整に入りました。
ほぼ未使用状態のこのピアノ。フェルト関係は新品同様なのでオリジナルをそのまま使用することにし、各稼働部のチェックの後、いきなり整調作業に入りました。
とはいうもののROLEXピアノのデータやマニュアルなどは、もうおそらく存在しませんので、ヤマハのデータなどを参照にしながらの調整となります。
まずは基準となる1Keyを調整し、それを全Keyに広げていくという作業になります。要は鍵盤が約10ミリ進んだ時のハンマーの振る舞いが、決められた寸法内で正しく出るかどうかの調整となります。
調整してみてびっくり、アフタータッチも正確に出て良い感じです。指先に伝わる感触もモヤッとしたものではなくコントロール性が良く理想的です。この手のいわゆる『手作りピアノ』系は、音色はともかく得てしてアクションの当たり外れがあり、ハズレのピアノはもう閉口してしまうほどなのですが、このピアノはアタリです。というかやはりこの高級クラスになると作り手も誇りを持って作ったことが時空を超えて伝わってきます。『俺たちの技を見てくれ』と。
そしてもう一つ。このピアノ、白鍵はアクリル製なのですが、黒鍵には黒檀が使用されています。アップライトピアノの黒檀鍵盤は珍しいですね。