調律師目線で見るショパンコンクール
数ある国際ピアノコンクールの中でショパンコンクールは、ショパン大好き日本人に今までも注目度は高かったのですが、今回は特に予選の段階から盛り上がっていた気がします。
テレビやネットでアイドル的なピアニストの人気が出たり、駅ピアノやストリートピアノが話題になったり、コロナ禍で自宅での楽器練習がブームになったりも影響したのかもしれません。
1年延期されて開催された第18回ショパンコンクール。同じく延期された東京オリンピックのアスリート達と同じようにモチベーションやコンデションの調整には難しいものがあったと思います。結果的には個人的にも子供の頃から注目していた小林さんと、奈良県に活動拠点の一つを置く反田さんが入賞という嬉しいニュースでした。
調律師目線から見ると、コンクールでの調律ってコンサートと違いコンテスタントの一生を左右しかねない。ショパコンともなるとチームを組んでの作業となるわけですが、それでもそのプレッシャーたるや想像を絶する作業だと思います。前回のコンクールが終了した時点からもう次に向けての作業が始められているとも聞きます。なので演奏内容よりもピアノのコンディションを舞台袖から見ている調律師と心情がリンクしてしまい、時には脇に汗をかく場面も。技術者の皆さんもお疲れ様でした。
余談ですが、公式ピアノはメーカーからの申請があってコンクール組織により審査が行われて決定します。過去にはベヒシュタインやベーゼンドルファー、プレイエルもありましたが現在はスタインウェイ、ファツィオリ、ヤマハ、カワイの4社になっています。今回のファイナルではスタインウェイのほかファツィオリと日本のカワイ(SHIGERU-KAWAI EX)が選ばれました。
4位の小林愛実さんのファイナルでの演奏。
2位の反田恭平さんのファイナルでの演奏。
1位のBruce (Xiaoyu) Liu(カナダ)さんの演奏。