チューナーを併用する理由
当ブログでも何度か書きましたが、私は調律の際にチューナーソフトを併用しています。調律師の中には懐疑的なことを言う人もいるようなので、ここで少し解説しておきます。
懐疑的な意見はおそらく、昭和40〜50年代のピアノブームの頃、調律学校3ヶ月コースで機械チューナーを使って調律する調律師が居て、お世辞にも巧い調律とはいえない酷いものでした。おそらくその時代で思考が止まってしまっている、もしくは営業トークとしての発言です。
現在調律師が使用しているチューナーソフトは、元々コンピューター用として開発されており、音に含まれる倍音まで測定し、インハーモニクス(注釈1)まで計算してくれると言うもので、前途の機械式チューナーとは根本的に違います。
併用することのメリットとして
1.自分の技術を数値として客観的に見ることができる
2.オーナーの不満点や要望を科学的に分析することができる
3.安定した技術の提供
4.ヒューマンエラーの防止
などなど。
人間が聴いて『美しい』と感じる音程と、基準音から計算された音程と、必ずしも一致するものではないので、一般の方がチューナーのみで調律しても美しい音にはなりません。調律師専用ソフトはあくまでも調律技術を持った技術者が使うようにできています。ちなみに普通のチューナーアプリや電子チューナーでピアノの音は測定できません。
もちろんチューナーを併用していないから劣ると言うわけでもありません。
調律師専用チューナーアプリとして有名なところは以下の通りです。併用する事で一般家庭でもレコーディングレベルの調律が可能になる便利な世の中になりました。
CyberTuner
Piano Tuning Application PT-A1
TuneLab Piano Tuner
下の画像はCyberTunerでのサンプリング画面です。1年経過後のグランドピアノでの測定値ですが、1cents(半音の100分の1)以下に収まっていることが分かります。