ピアノの倍音を測定してみました。
以前に『ピアノの440Hzの1オクターブ上が880Hzにならない理由』で解説いたしましたピアノの倍音の話。iPhoneアプリ iAnalyzer を使って、実際に測定して倍音を可視化してみました。
下の画像がA4 (440Hz) を鳴らして測定した画面のキャプチャーです。
番号1が元になる実際に聴こえている音 A4 の第1倍音で 440.3Hz(なぜピッタリ440Hzで無いかは後述)と見えます。そしてピークの2番目、番号2が第2倍音(1オクターブ上)になり 881.0Hz となり、440.3Hzの2倍(880.6Hz)よりも高い音(+1セント)になっていることがお分かりいただけると思います。ちなみに番号3は第3倍音。1オクターブと完全5度上の音(E5)で計算上の音より +6セントとなっていますね。
調律師は音の中に含まれるこの倍音を聴き取り、それぞれの音を合わせていくわけです。そしてこの数値はピアノにより違いますので、機械ではなく今でも人間の耳で調律するのです。
さて、前途の 440.3Hz の件ですが、ピアノに限らず楽器の音は常に揺らいでいます。減衰音を別の部分で区切ってみると。
更に。
440.3Hz → 441.3Hz → 439.9Hz と、ひとつの音が発せられてから減衰し消えるまでの間に周波数が変化している事がお分かりいただけると思います。これらの変化は聴き手に意識されることはありません。調律師は音を計算上の数字に合わせることが重要ではなく、どのように合わせると、どのように聴こえるかを意識し、全体のバランスを考え、それが『音造り』となるわけです。
今回使用したアプリ(iTunes Store)
iAnalyzer – Phyar Studio