鍵盤バランスホール調整
鍵盤はテコの原理を利用してピアノアクションを動かしています。指先が触れる部分が『力点』アクションを動かす部分が『作用点』そして『支点』に当たる部分がこの『バランスホール』と呼ばれる部分です。
ヤマハのピアノアクション展示館で、その動きを動画で確認することができます。
『バランスホール』は文字通り穴(ホール)が開いていて、そこに『バランスピン』と呼ばれる金属のポールがその穴に入ります。
バランスホールの穴の直径とバランスピンの直径は寸分違わぬ値で無くてはなりません。穴が狭すぎるとキータッチが重くなり、緩過ぎると鍵盤ガタになってしまいます。厄介なことに鍵盤は木材で出来ていますので、その日の気温や湿度により変化します。すると穴の大きさも当然変化します。なので様子を見て穴の調整してあげなければなりません。
穴はバランスピンの断面に合わせて真円ですが、穴の奥は、垂直に固定されたバランスピンに対し回転運動をする鍵盤に合わせて、前後にテーパー状になっています。文書での説明が難しいので、実際の画像を探したのですが、残念ながら見つからず、かろうじて以下のリンクのページにイラストが有ります、各社によって若干の違いがありますが、参考になると思います。
The Design Elements of the Accelerated Action
調節にはリーマーを使い、すべての鍵盤のタッチが同じになるよう、指先に伝わる感覚を頼りに調節していきます。
余談ですが、長期間放置されたピアノや極端に湿度が高かった場合、バランスピンに錆が発生して鍵盤の動きを阻害していたり、酷い場合はホールとピンが癒着してしまい、鍵盤を取り外す際にホールが欠損してしまう事例も沢山ありますので、使用していなくても定期的なメンテナンスをおすすめします。