ペンタサからアサコールへ
現在の出血の状況です。肉眼ではほとんど確認できないほどに回復したのですが、病院で確認していただいたところ、やはりまだ出血が見られるとのこと。但し下痢ではありません。
ここ数年はペンタサ錠を2錠/1日服用していたのですが、今回から安倍総理も服用されているという『アサコール錠』に変更してみた。
このアサコール錠、薬効成分そのものはペンタサと余り変わり無いようですが、小腸を含む腸の入り口部分から効き始めるペンタサと違い、薬効成分が特殊なコーテング剤で保護されていて、より出口(肛門)へ近い部分へ成分を届けることができるので、私のような下行結腸型の炎症の場合にはペンタサ錠よりも効果が期待できるかも。
20代半ばの最初の発症時は、正確な診断が出ず、あちこちの病院を転々としたために激症化してしまい、いわゆる『全結腸型』の炎症(病院によっては大腸摘出を薦められました)だったのですが、その後の再発は早期発見ということもあって下行結腸部分のみの炎症で、それはそれでよかったのですが、厄介なことに錠剤の成分が届きにくい。そこで浣腸型のペンタサ液やステロイド液を注入するという非常に苦しい治療法を強いられます。しかも注入後は腸内に薬液が行き渡るように長時間寝ていなければならない。私の場合それが毎朝毎晩でしたから、そりゃあ仕事にも支障が出ますわな。アサコール錠の認可によりこの苦しみから開放されるならば、まさに画期的新薬です。幸か不幸か試す時が来たようなので、経過を逐一ご報告できると思います。
新薬といえば、アサコール錠剤の他にもう一つ、『レミケード(インフリキシマブ)』と言う薬も2年ほど前に認可されました。
潰瘍性大腸炎の他、クローン病、リュウマチなどに効果が期待される『レミケード(インフリキシマブ)』は、重症の患者さんに処方されると聞いています。こちらも症状に劇的な改善が見られるということですので、ステロイド治療でも行き詰まっている患者さんにとっては朗報ですね。
安倍総理がテレビで『画期的新薬』と語っておられた時、私はこの『レミケード』と『アサコール』の事だと思っていたのですが、マスコミによっては現在寛解期であろう総理が服用されているのがペンタサ錠と余り変わらないアサコール錠だと知って「これが総理の言う画期的新薬か?」と叩いている記事を見かけますが、安倍氏ほどの立場の人ならば一流の医師の治療を受けられているでしょうから、当然レミケードのことも知っておられて(もしかしたら投薬を受けておられたのかもしれません)それらを含めての『画期的新薬』と仰られたのではないでしょうか。私のような一般人でも主治医から『もうすぐこんな薬が認可されるよ』と医師会の会合での状況報告をしていただいていましたから。
総理の話が出た所でついでに、今更ですがカツカレーのことも一言 🙂
患者さんの中でも意見が別れる食事ですが、私は年齢的な事もあってカレーライスは好んで食べなくなりましたが(でもハヤシライスは食べます)トンカツは普通に食べます。ステーキも焼肉(出来るだけポン酢で)も。お酒も週に2〜3日は飲みます(ただし日本酒なら夏でも温めて1合程度、夏場のビールは中ジョッキ1〜2杯を一気飲みしないように)年に1〜2回は酔い潰れる事も(これは、おすすめしません)。コーヒーも毎日7〜8杯飲みます。
ただし、控えている食品もあります。特に気を付けているのは、牛乳(これは年齢のせいも有るかもしれません)、キムチなどの唐辛子系、ニンニク料理、あとチョコレートも食べ過ぎるとお腹が緩くなるので食べるなら少量にしています。これ以外はなんでも食べますよく噛んで。腹八分目。
現在はもちろん出血中なので、少しは食事制限しています。とは言え一言で言うと『江戸時代の普通の食事(ただし揚げ物は除く)』なので個人的には無理な制限をしている気持ちも無く、特に不自由は感じておりません。好き嫌いが多い健康な方よりも沢山の種類を食べているかもね。これが粘液血便ともなればエレンタールなどの流動食に切り替えると思いますが。
最後の入院から15年が経過しましたが、時折今回のように出血することがあっても、すぐさま対応するので激症には至らず元気に過ごしています。
他の患者さんと話してみた感想なのですが、食べて良いものとダメな物に個人差が有るように思います。もちろん総理がカツカレーを食べているから自分も大丈夫なんだと思ってはいけませんし、上に書いたような私が食べているものでも他の患者さんには合わないかもしれません。重要なのは、自分には何が食べても大丈夫なのか、どれくらいの量ならばOKなのか。何を食べると調子が悪くなるのかを早く見つけることだと思います。ネットや書籍などに載っている病気に対する情報はあくまでも一般的な安全策を書いてあるので、余りガチガチに考えずに、寛解期ならばちょっと食べてみて『これは大丈夫だな、でも食べ過ぎたらダメだな』とか『これは絶対食べたらダメだな』とかを早く見つけることです。
当然、私以上に病歴が長い総理なので、自分が食べても大丈夫な食事など熟知されていると思います。そういうことに気が付いたのか、抗議が寄せられたからなのかどうなのか知りませんが、途中からカツカレーの値段に話題をすり替えたマスコミには、ただただ呆れるばかり。
追伸
もしもこれを読んでくださっている中で患者さんのご家族の方がいらっしゃるならば、寛解期の患者さんには『これ食べる?』『これ食べられる?』って聞かないで下さい。食べたいに決まってます。それよりも『食べられるものを適当に食べといて』って言ってくれる方がありがたいです。もちろん『食べたらダメ』は本人が一番わかっていること。とにかく、どんな病気でもそうなのですが、他人から押し付けられることほど辛いものはありません。それはたとえ家族であっても。特に食事に関してはね。
現状では一生付き合っていくであろう病気なので、長い目で見て、たまには失敗もして、経験して、病気と共存して行くことを身につける方が得策だと思います。
ただ病気は本人の意志とは関係なく時折牙を剥こうとしますので、総理を含め皆様くれぐれもご自愛下さいませ。