1919年製 YAMAHA PIANO 復元 その5
比べてみると、本体の長さこそ同じですがフェルト部分の長さと止めピンの位置が若干異なります。ちなみにフェルトは100%羊毛です。 ドリルを使って取り付け穴を開けます。取り付けの角度はピアノによって違いますので、資料がないピアノの時は1本1本測定して角度を決めていきます。ハンマーの個数に余裕がありませんので失敗は許されません。いつも緊張します。 穴あけが終わったらハンマーシャンク(ヘッドが付いている棒の部品)に取り付けていきます。取り付けには膠(ニカワ)やニカワ風接着剤を使用します。取り付けが終わると電気コテを使ってざっと向きを調整します。最終的な調整はピアノ本体に取り付けての調整になります。 新しいハンマーの白木の香りと張り替えた新しいレールクロスの緑が鮮やかな美しくデザインされたアクション。もうすぐ完成。 今回ハンマーの交換をさせていただくということで一番迷ったのが、デザインや規格が違う現代のピアノの部品を使うべきかどうか。ハンマー以外にもブライドルテープ(上の写真の下の方に見える白い帯状の部品)などの取り付け方も現在のヤマハピアノとは異なっています。この年代のピアノはもう数えるほどしか残っていないと思われますのでなるべくならば後世にありのままの姿で残したい。展示物としての使用ならばパンクしてしまっている古いハンマーヘッドを修理して使ったり、特注すれば同じような部品も作ることができるのでしょうが、そうなれば音が悪かったり費用も莫大なものになってしまいます。今回はお孫さんがレッスンで日常的に使うということなので、思い切ってガンガン普通に使えるピアノにすることにしました。一応取り外した部品は資料として幾つかオーナーにお渡しすることにします。 ]]>