昭和31年(1956年)製 ヤマハC2S
昨日お伺いしたお宅は珍しい昭和31年製のヤマハC2Sという器種でした。
スピネットピアノと呼ばれるタイプで、アクションが鍵盤よりも下に有りますので、背丈が低くなっています。特にこのC2Sはハンマーの位置が鍵盤の位置と同じぐらいにまで下げられています。
とても凝ったデザインでスライド式の鍵盤蓋も現在の物とは違いスムーズに開閉出来る様な機構になっています。こう言った優れた技術は引き継いで欲しいですよね。なんせ現在の物は左右均等にスライドさせないと引っかかちゃうんですよね(笑)。蓋を閉じたときの関節部分の見せ方や、脚の部分のデザインもモダンで当時のデザイナーの質の高さを伺い知る事が出来ます。
お客様のC2Sはとてもいいコンディションでしたが、少々カビが多く、所々スティック(アクションが湿気等で動かなくなる状態)が発生していましたので、後日改めてオーバーホールさせていただく予定です。
ピアノには大きく分けてグランドピアノとアップライトピアノが有る事は、皆さん良くご存知かと思いますが、実はアップライトピアノとは縦型ピアノの総称ではなく、特定の種類のピアノの事を指し、鍵盤に対しアクションが上の方へ離れていて、鍵盤とアクションの間にポストワイヤーが入っているピアノを指します。
それに対し、鍵盤の上に直接アクションが乗っているピアノをコンソールピアノ。鍵盤よりアクションが下にあるものをスピネットピアノと呼びます。コンソールピアノとスピネットピアノはどちらも背丈が低くなっていますので外から見ただけでは素人には判断が難しいかもしれませんね。現在スピネットピアノは殆ど製造されていませんので、最近の背丈が低いピノのほとんどはコンソールピアノと言う事かもしれません。
余談ですが、もっと背が低いスクウェアピアノと呼ばれるタイプのピアノも有りますが、こちらはグランドピアノ(平型ピアノ)に分類されます。