先日お伺いした新規のお客様。ピアノの具合を伺うと表題のご指摘。弾いてみると、なるほど確かに『にっ』って鳴る。それも結構な大きさで。

ご存知のようにピアノの音は鍵盤を放すと(ペダルを踏まない時は)音が止まります。それはダンパーと呼ばれる部品が弦(ピアノ線)の振動を押さえつける事により音は止まります。そのダンパーと弦の接触面には緩衝材として柔らかいダンパーフェルトが張られています。下の写真の矢印の部分がダンパーフェルト。

で、どうやらこのダンパーフェルトが弦に触れる瞬間に例の雑音が発生しているようです。そこでアクションを取り外し、ダンパーフェルトの弦との接触面を見てみると下の写真のようになっていました。

矢印の部分にサビが付着し、カチカチに硬化しています。このことから結露等の水分が弦にサビを呼び、水分がサビと共にフェルトに染み込んで、その後乾燥。何度もそれを繰り返しフェルトを硬化させたと推測されます。応急的には表面の硬化した部分を丁寧に取り除く事で雑音は無くなりますが、今回の場合は数も多く、お孫様が弾き始めた事もあり全ダンパーフェルトの交換修理という事になりました。

特に冬場は部屋を暖めると冷たい金属部分に結露が発生しますので、長年放置しているとこのようなことが起こりますので注意が必要です。

余談ですが、メーカーによっては工場出荷時に防錆油を弦に塗布している場合があります。そのようなピアノは納品調律時に丁寧に拭き取ってあげなくてはなりません。グランドピアノはユーザーが簡単に弦にアクセス出来るようになっていて、ユーザーがサビを防止しようと防錆油を弦に塗布してしまう話しを耳にしますが、当然、弦(振動部分)に防錆油を塗るのは御法度です。ダンパーフェルトはもちろんハンマーフェルトに染み込むと取り返しがつかない事になりますのでご注意を。