ピアノ調律師の減少が深刻な事態に
「もう不足している」オーストラリアのピアノ調律師の減少が深刻な事態になっているというニュース。
オーストラリアには推定250人の調律師と、日本の1級技能士にあたる専門技術者20人だけが残っており、これがピアニスト、ピアノ講師はもとより、音楽家やオーケストラ、そして調律師引退を控えている人々を心配させているそうです。
技術者不足によって最も影響を受けるのはコンサートピアノだが、楽器が高度なメンテナンスを受けずに放置されれば、オーストラリアで日常的にピアノを演奏する人たちは聴取能力を失い、ピアニストの芸術が危険にさらされることになると、技術者のオットリーさんは言います。
現在のオーストラリアには、ピアノ調律師になりたい若者のための確立された大規模な訓練場や施設が無く、既存の技術者が退職する中、若い調律師が学べる新しい訓練施設が開設されなければ、オーストラリア中のコンサートピアノと奏者は苦境に陥るだろうと調律師のデビット・キニー氏は語ります。
実は日本のヤマハとカワイがオーストラリア国立大学と協力して、この問題に対処するための新しいトレーニング施設を設立することが検討され協議が進められており、キニー氏とオットリー氏は非常に喜んでいると記事は締めくくられています。
こうした事態は日本も例外ではなく、日本でもピアノ調律師になりたいと言う人は激減しています。以前にも書きましたが、かつて3000人ほどいたピアノ調律師協会会員が今や2000人ほど、うち1級技能士は全国で600人足らず。少子化が進みピアノが売れなくなっている日本ならともかく、今でも売れ続けている広大なオーストラリアで前途の数字が、いかに深刻な事態なのかよく分かります。
ピアノ調律師という職業は地味ですが、その国の音楽産業の根底を支えている職業と言えるかもしれませんね。
参照記事
‘We’re running out’: decline of Australia’s piano tuners hits a sore note