失敗談『余計な一言』
もうすぐ40年になる調律師生活の中で数々の失敗を経験してきました。今では懐かしい思い出ですが、少しずつ書いていこうかな。調律師生活1年目のある日、こんな事がありました。
私だ勤めていたピアノメーカーでは当時、調律のノルマ以外にもピアノ販売のノルマもありました。そもそも『販売営業』が苦手で技術職を選んだのに『販売ノルマ』は結構きついものがありました。それでもなんとかノルマをこなしやっていたのですが、入社1年目のある日、お得意様宅でこんな事がありました。
『ギターが欲しい』とのご要望。
私が努めていたピアノメーカーは当時ギターも製造していたので、本社から取り寄せて販売させていただきました。
『販売ノルマがあった』前途しましたが、あくまでもそれは『ピアノ』のみ。その他の楽器にはノルマもなく、売ったからと言って営業的に特に褒められるということもなかったので、値引きも目一杯させていただきました。
お客様から『こんなに安くしていただいてありがとう』と感謝され返した言葉が余計な一言でした。
『これ売っても特に成績になるわけでもないので気にしないでください』
この一言がお客様の逆鱗に触れてしまった。改めて思い返すととても失礼だったと思うのですが当時19歳の私には分からなかった。
信頼を得るには莫大な時間が必要ですが、失うのは一瞬だということを思い知らされました。