レットオフとドロップそしてアフタータッチ
グランドピアノのハンマーの動き『レットオフ』『ドロップ』『アフタータッチ』の一連の流れを撮影してみました。
鍵盤を音を鳴らさないようにゆっくりと押さえていき、ハンマーが弦に向かって上がる最も近づいた時点のハンマー先端から弦までの距離がレットオフ寸法。そこからストンと落ちる距離がドロップ寸法、落ちてから少し上がる寸法がアフタータッチ(注意1)です。それぞれ個別に調整することが可能で、鍵盤のタッチ(重さではない)に非常に影響します。
アップライトピアノにも同じような動きがありますが、ドロップという動きはありません。グランドピアノの連続打鍵性能がアップライトピアノの倍近くある秘密の一つがココにあります。
(注意1)
この寸法をアフタータッチと呼ぶことには諸説ありますが、お客様に解説する時に便宜上アフタータッチと称しています。よく似た意味の言葉にナッハ・ズルック(Nach zurück)と言うのもありますが、こちらも寸法というよりも、指先に感じる感覚と言った方が適切かもしれません。
余談ですが、サイレントピアノの場合、ハンマーの動きを打弦寸前に強制的に止めるために、通常よりもレットオフ寸法を多めに取らなければなりません。サイレントピアノのタッチが通常のものと少し違うなと感じるのは、ココが原因で、宣伝文句にあるような鍵盤センサーが接触型か非接触型の違いは、それほど気にする必要は無いと思います。