調律作業にもトリアージ
先日のエントリ『1回だけじゃ戦えない』に関連してですが、一般家庭での調律作業の場合、時間的制約もあり、技術者はまず最初に作業の内容の順番を決めることになります。
大きな流れとしては以下の通り。
- 音が鳴らない、鍵盤が動かない、ペダルが効かないなどの演奏に直接支障がある箇所のチェック、修正、修理
- 演奏はできるが雑音などの演奏に障害になるもののチェック、修正、修理(雑音の原因となる内部清掃なども含む)
- ここで初めて音程の調整、調律となります
- 鍵盤のタッチなどの調整(整調)
- 音色の調整(整音)
- 外装のクリーニング
調律にかけられる時間は、一般家庭での1万何がし円ほどの普通の調律の場合、アップライトピアノの場合で90分から120分くらい。
年に1〜2回の調律を定期的に行っているピアノならば、全ての調整も短時間で済み、ベストコンディションを維持することができるのです。
対して年数空きピアノや数年に1回の調律の場合、大きく緩んだ張力を元に戻すだけで、何度も繰り返し3番の調律作業をしなければなないので、時間的な関係上いつまでたっても最低限必要な1〜3番までの繰り返しだけということになってしまいます。
もちろん時間をかけて全てを行う場合もありますが、当然必要な費用も大きくなりますし、その場合でも揺り戻しのために比較的早い段階で再調整が必要になる場合もあります。
弾いていなくとも年1〜2度の調律調整はお忘れなく。