ピアノを壁に埋め込み設置する場合の注意点
家を新築する時にピアノの設置をどうするか。特に自由設計の場合に、ちょっと気を付けていただきたいことが有ります。
空間を有効利用しようとピアノの設置場所を壁に埋め込みたくなるのが人情というものです。もちろんそれは構わないのですが、あまりにも寸法に余裕が無い場合は、壁を傷付けないよう設置の際の運送屋さんの苦労は相当です。
このピアノの場合、左右にコピー用紙すら入らないほどにギリギリなのですが、さすが運送屋さんもプロです。なんとか上手に入れて頂けました。が、ほんの僅かな角度により、調律の際に屋根のフタをすんなり開けることが出来ません。。。 🙁 (もちろん私もプロですので何とかしましたが)
さて、ピアノを壁に埋め込み設置する際の注意点ですが、出来ればピアノの外寸法に対して以下のように余裕を持っての設計、設置が理想的です。
上面図(左右後の余裕)
ピアノに向かって右側(高音部)を大きく空けるのは、ピアノの調律作業を容易にするためです。高音部のスペースに余裕が無いと調律作業時にアクロバティックな姿勢を余儀なくされます 😆 またこれくらい余裕があれば、設置時や後の移動時に誤って壁を傷つけてしまうこともありません。
側面図(上部の余裕)
ピアノの上部に余裕が無いと一番上の屋根をまくり上げる事が出来なくなくなってしまいますので、調律の際にその都度ピアノを手前に引っぱり出さなくてはなりません。また壁ではない場合でも、棚や額縁、壁掛け時計なども低い位置に有るとフタを開ける際に干渉してしまうことが有ります。
おおよその寸法ですが、余裕があれば有るほど運送屋さん調律師共にありがたいです。
グランドピアノの場合も同じで、上部はアップライトピアノ以上の余裕が必要な事はもちろん、高音部側にもやはり余裕(人が通ることが出来るくらい)を持って設置をお願いします。また忘れがちですが、グランドピアノの場合、調律の際にアクションを引き出したりしますので、手前側は1mほどの余裕がほしいです。
以上、もう既に設置してしまっている場合は何とかしてでも作業致しますが、これから設計しようと思う方がいらっしゃるなら参考にしていただければ幸いです。