ピアノの440Hzの1オクターブ上が880Hzにならない理由

2010年7月31日 by Piano in Piano & Work

ネットサーフィン(←死語)をしていたらこんな質問を書いていらっしゃる方が有りましたので、ちょっと書いておきます。
Yahoo!知恵袋『ピアノ調律について』
解りやすいように、A4を440hzにしたとき1オクターブ上のA5が計算上の数字880hzよりも、やや高めになってしまう理由を簡単に書きます。知恵袋に書かれている音階部分でも理屈は同じです。

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仮に440hzのピアノ線の長さを50cmだったとしましょう。440hzということは、この50cmの弦が1秒間に440回振動するという事ですね。

実はこの時、50cmの弦が大きく振動しながらその半分の25cmの部分でも振動しているのです(2倍の880回/秒)。この25cmの振動こそが1オクターブ上の音になる訳です。すなわち、A4の音の中にA5の音が含まれているという事です。この含まれている音の事を倍音と呼びます(実際には倍音は1オクターブ上の音だけではなく沢山の音が含まれています)。調律師はA4に含まれるこの25cm部分(倍音)の音を聞き取り、その音に実際のオクターブ上のA5を調節している訳です。で、50cmが440hzならば半分の長さの25cmは2倍の880hzと、計算上ではなる訳です。

ピアノ線の振動(イメージ図)

ところが実際にはピアノ線は非常に硬い鋼鉄で出来ていますので、実際に振動する部分は計算上の50cmや25cmよりも下の図の『a』の部分だけ短くなってしまいます。なのでA5を測定器を使い880hzに合わせてしまうと50cmの弦(440hz)に含まれる25cmの振動部分とに差が出てしまい、A4とA5、2本同時に鳴らすと音がズレて聞こえてしまいます(音が干渉し合い、唸りが生じてしまう)。調律師はその唸りを耳で聞いて、唸りが無くなるように調節している訳で、結果、振動部分が短い分、オクターブが美しく響く位置は計算上の880hzよりも高めになってしまうという訳です。

拡大図(イメージ図)

また『a』の寸法は弦の長さや太さ、張力によって変わります。ピアノの器種が変われば値も変わります(全てのピアノの同じ音が同じ太さの弦を使っている訳ではありません)。また同じ器種でも、ハンマーの形状、打鍵の強さ、ピアノ線に付着した汚れやピアノ線自体に含まれる不純物によっても微妙に変化します。いくら精密な測定器を使っても、結局、『唸り』を聞き分ける耳が無いと美しい調律は不可能という事です。メーター上のピッタリな音が必ずしも美しい音程というわけではないのです。

知恵袋での質問のような音階部分でも理論的に同じです。平均率は1オクターブの中に12の音を均等に割る振るという事ですが、その1オクターブ間の距離がピアノによって違うので当然その中の音の配置もピアノにより変わります。測定器を使わないのは、単にベストアンサーの『できるだけ時間と余計な手間をかけずに仕事をしようとする結果』ではないのです。実際にメーターの針を見ながらの調律は、時間がかかるのも事実ですが。



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